2025年4月、世界的学術誌 Cell に掲載された総説論文「From geroscience to precision geromedicine: Understanding and managing aging」において、老化の理解をさらに深める新たな視点が提示されました。
これまで「12の老化兆候(Hallmarks of Aging)」として整理されていた生物学的特徴に加え、今回は新たに「細胞外マトリックスの変化(Extracellular Matrix Changes)」と「心理社会的孤立(Psychosocial Isolation)」の2項目が検討対象として挙げられ、合計14項目に拡張が提案されたと報じられています。
従来の老化兆候は「テロメアの短縮」や「ミトコンドリア機能低下」など、細胞・分子レベルの変化に焦点が当てられてきました。
今回の拡張では、「細胞外マトリックスの変化」が身体組織レベルの老化を示す指標として位置づけられ、さらに「心理社会的孤立」が社会的・精神的要因を含む新たな枠組みとして加わりました。
特に「心理社会的孤立」は、ストレスや免疫・代謝への影響を通じて炎症や睡眠障害を引き起こし、老化を間接的に促進する可能性が指摘されています。
「14の老化兆候」は、まだ正式な学術的合意には至っていないものの、老化を多面的に理解し、予防や介入に活かすための重要な指針として今注目されています。ベル・クール研究所では、こうした国際的な知見を踏まえ、科学的根拠に基づくエイジングケア研究を今後も推進してまいります。

引用元・参考文献:
López-Otín, C. et al.
From geroscience to precision geromedicine: Understanding and managing aging. Cell, 2025.


